The Longest one-way Ticket ~最長片道切符の旅・2005春~


第2日目 北見→釧路  流氷と湿原とSLと

第2日目 北見→釧路

c0047256_19132827.jpg


c0047256_19145032.jpg

ホテルのカーテンを開けると、眩しいくらいに朝日が差し込んできた。雲ひとつない快晴だ。今日は、石北本線を網走まで進み、そこから釧網本線で釧路に抜ける予定だ。移動距離は短いが、流氷と釧路湿原という北海道の自然を満喫できると思う。テレビを付けると、きしくも、今日は京都議定書が発行される日だという。自然を考えるには良い一日になるかもしれない。

北見市内のホテルを7時過ぎに出て、北見駅へと向かう。ホテルの外にでると放射冷却なのか、かなりの寒さだが、朝日が雪をオレンジ色に染めて、幻想的な世界が広がっている。「さわやかな朝」というのは、本来こういう朝を表すのだろう。街はすでに動いていて、車の交通量も多い。

北見駅に着くと、ちょうど札幌行きの特急「オホーツク」の改札が始まった所で、活気に溢れていた。また、通勤・通学の時間帯という事もあって北見駅に着く列車は多くの高校生で満員で、列車が着く度にちょっとした騒ぎになる。そういった光景を横目に、駅の立ち食い蕎麦で朝食をとる。駅に備え付けのテレビでは、NHKのが流れていて、やはり、京都議定書発行のことを伝えていた。

北見発8時7分の網走行き列車はなんと4両もつないでいた。どの車両も高校生で満員である。私は一番後ろの車両に乗り込んだ。何とか席を見つけて座る。だが、どうも場違いな雰囲気がして落着かない。列車は北見を出ると、しばらく高架橋を走り、柏陽に停車した。多くの高校生が降りたが、同じくらいに高校生が乗り込んでくる。車内は騒がしいが、目を外に向けるとまさに白銀の世界。雲ひとつない青空が広がり、太陽の光を反射する雪が眩しい。列車が舞い上げる粉雪が、また、なんともいえない輝きを放っている。愛し野駅で、高校生の全員が降りた。最後尾の車両に乗っているのは、私だけになった。列車は、北見の郊外を抜け、見渡す限りの白銀の世界になる。言葉では言い表せない美しさが、車窓いっぱいに広がる。

呼人駅を過ぎると、左側に網走湖が見えてくる。網走湖は厚い氷に覆われているが、カワハギ釣りの人で賑わっているようだ。しばらく網走湖畔を走り、街並が現れてくると網走に到着した。網走着9時13分。4両編成の列車には、すでに別々の行先表示が掲げられ、係員が分割作業に取り掛かった。顔に当たる風が非常に痛いが、天気のおかげで寒さはそれほどでもない。一旦、駅舎の外に出るべく、改札に向かう。切符を係りの人に見せると、
「ん?これは…」
というので、説明しかけると
「あぁ。例の旅ですか!すごいですねぇ。どこの駅発行?あ、東京駅。切符作るのに結構時間かかったでしょ。」
「ええ。1週間くらいかかりました。」
「そうですか。がんばってください。」
と励まされてしまった。ありがたい。

駅舎の外にでると、なんと立派な塩鮭や蟹を販売する屋台が出ていた。しかも、安い。やはり、北海道にいるのだと再認識する。駅舎の外に掲げられた立派な「網走駅」の看板を見に行く。たいていの駅に掲げられている駅名看板は横文字に書かれている。けれども、網走駅の駅名看板は縦となっている。これにはきちんと理由がある。網走といえば、網走刑務所があることで有名だ。その網走刑務所で刑役を終えた人が、以後の人生を真っ直ぐな人間として送って欲しいという意味を込めて作られた由。この駅から、多くの人が人生を再スタートさせているのかと思うと、なかなか感慨深い。再び、駅舎に戻ると名物駅弁の「かにめし」が置いてあったので購入する。今日の晩にでも食べようと思う。

さて、今度乗るべく列車は、釧網本線の快速「しれとこ」、釧路行きである。網走と釧路を結ぶ釧網本線の看板列車なのだが、1両での運行である。しかも、今は流氷が網走の沿岸に到達しているとい観光シーズンなのだが、1両では少々物足りない。案の定、車内はかなりの混雑で立つ人もでた。大方は観光客だが、それに混ざって、ビジネスマンも乗車しており客層は様々だ。しかも、カナダの国旗がついたジャンバーを着ている外人の老夫婦も乗車してきた。どうやら、日本をかなりの回数で訪れているよう。

臨時列車の「流氷ノロッコ号」が網走駅に到着した後、出発する。流氷ノロッコ号は、全車展望車でしかも、速度も遅く設定されており、ゆっくりと流氷を見る事ができる。本来なら乗りたいところだが、今日は標茶駅から「SL冬の湿原号」に乗る予定なので、今日は見逃す。けれど機会があれば、ぜひ乗ってみたい列車である。

網走駅を出てしばらくいくと、直ぐにオホーツク海に出て、流氷を拝める事が出来た。生で見る流氷は雄大だ。氷が太陽の光に反射して、さながら宝石のようにキラキラと輝いている。それを窓から眺める身にとっては、目が痛くて仕方がないのだが、とにかく美しい。遥か彼方には、羅臼岳に代表される知床連山も眺めることができ、北海道の自然を十二分に満喫する。地元の人によれば、冬にこれほど天気がいいのは年に数回とのことで、今日は、なかなか運がよいようだ。まもなく、北浜駅に到着する。オホーツク海に最も近い駅として、観光バスが列をなしており、その乗客がホームに溢れかえっていてかなり危険だ。少し前までは静かなローカル駅だったのだが、テレビで紹介されるや、全国区でもかなり有名な駅になった。テレビの効果はすごい。

その北浜を過ぎると、しばらくは海を離れて走る。進行方向右側は、釧路湿原で、雄大な自然が広がる。雪が太陽光に反射して眩しい。そして美しい。何もかもを忘れさせてくれる、そういう幻想的な風景が広がる。釧路湿原の魅力は、もっと内陸にあるのだが、それでも旅をする者にとっては、十分に満喫できると思う。まぁ、白鳥や丹頂鶴を見たい人は車でいくしかないのだけれど。

知床斜里を前に再び海岸線近くを通る。線路の進行方向には、知床半島の付け根、海別岳を真正面に臨む事ができる。右には斜里岳も見えてきた。知床斜里着10時41分。行き違い列車を待つためにしばらく停車する。釧路方には海別岳、右側には斜里岳が見え、なかなかいい駅だ。多くの乗客はホームに降りて、その風景を写真に収めている。また、シュークリームやアイスを売りに、駅売りの人が車内にやってきたりと、わずかな停車だがあわただしい。

知床斜里をでると、線路は一気に左にカーブし、斜里岳の麓を進む。デジカメに風景を収めようと思うのだが、いい色合いが出ない。デジカメは便利だが、やはり一眼レフに敵わない部分もあると思う。デジタルよりアナログが優れることもあるのだ。

さて、斜里岳の山容が車窓の後方にさると、少し山間を列車は進む。この辺りは温泉地が多く、川湯温泉、摩周と人が多く乗り降りする。しかし、摩周という駅は、元来は弟子屈という名前だったが、摩周湖の観光客目当てで駅名を改称した。確かに、観光客にとってはわかりやすくていいのだろうけど、昔からの続く地方の駅名を簡単に改称するのはいかがなものかと思う。

標茶着12時29分。「SL冬の湿原号」に乗る私は、ここで途中下車。すでに、釧路から走ってきたSL列車は到着していて、写真撮影をする人や、団体客がバスに乗り込んで、摩周温泉や川湯温泉へと出発していなど、小さな標茶駅が活気で溢れる。私は少し落着いたのを見計らって、駅員に切符を見せる。
「すいません、記念に下車印を押してください」と私が言うと、駅員は
「お…おぉこれは、これは。どっかのテレビでやっていた…。」
「ええ。そうなんです。昨日から初めて、今日は釧路まで行くんです。」
「ほほう。がんばってくださいね。」
といって下車印を押してくれた。しかし、あまり使ってないらしく、印字がほとんど見えなかった。少し残念。

標茶駅は、道東鉄道発祥の地で、かつては標津線と釧網本線のジャンクション駅だったが、標津線はすでにない。けれど、SL効果で冬はかなりの人手がある。SLの人気は高い。その標茶駅ではSLギャラリーというところが設けられていて、軽食が取れるようになっている。ちょうどお昼時なので、カレーを食べた。ご飯が思ったより多く盛られて、満足する。「冬の湿原号」の発車までは結構時間があって、ぼんやり牽引機のC11 171号機を眺めたり、SLグッズを眺めたりしているうちに、団体客の乗ったバスが到着し、駅は再び賑わいを見せる。標茶駅にはSLの向きを変える、ターンテーブルがないため、釧路行きの列車は後ろ向きに、客車に連結される。そのシーンをカメラに収めるべく、団体一行は、一斉にホームの端に集まる。

発車10分前に、改札が始まる。私は1号車で、一番後ろだ。客車に乗り込むと列車の運行に携わる人が集まり雑談をしていた。ちょうど私の席だったので、邪魔するようで悪かったが、どいてもらう。すると、機関士の人が、
「あんちゃん、どっかでワシと会わんかったか?」
と聞いてきた。寝耳に水で、記憶にない。
「え…いやぁ覚えてないですけど。」
「ほうか?でもどっかでみたで。流氷ノロッコ乗ってなかった?」
私は、まだ流氷ノロッコ号に乗った事がない。
「いえ、その…乗ってないですけど…」
「おっかしいなぁ。よっしゃ。そろそろ行くか!」
といって、機関車へと向かって歩いていった。

冬の湿原号の客車は14系といって、昔は特急用の客車として使われていたのだが、内部は大改造を受け、レトロないい感じになっている。各ボックスに大きなテーブルが付いているのも、特徴。しかも、車内には、だるまストーブも置かれている。車内で販売しているスルメを焼いても構わないということで、なかなかしゃれている。定刻になると、汽笛一声、標茶を出発する。蒸気機関車独特の加速で、ゆっくりとスピードを上げる。車窓は、前半の流氷の風景とは打って変わり、釧路湿原のど真ん中を進む。東京ドームが6000個入る、国内随一の湿原だ。目を凝らすとキタキツネや蝦夷鹿も見る事ができて、なかなか楽しい。途中、茅沼に停車する。今は、無人駅であるが、かつて駅員がいた時代に、丹頂鶴へ餌付けを行っていたそうで、今でも鶴がやってくる駅との事。昨年、サークルの合宿が十勝川温泉であった際、友人とこの駅で丹頂鶴の写真を撮りまくった思い出がある。もう1年経つのかと思う。残念ながら、今日は、鶴は姿を見せてくれなかった。

列車は、ゆっくりと進む。最高時速は65キロと遅いが、釧路湿原を眺めるのには丁度よい速度だ。途中、蝦夷鹿の群れに遭遇する。蝦夷鹿は、絶滅の危機に立たされていたが、保護によってその数を増やした。けれど、こんどは増えすぎて自然破壊の原因ともなっているという。なんとも皮肉は話だ。

釧路が近づくと、段々と向上や道路が見えはじめる。短いSLの旅が終る。東釧路で、根室本線と合流し、釧路に到着。今日の移動距離は短かったが、自然を十二分に満喫できた。

さて、ホテルの部屋でニュースを見ていると、釧路湿原に関する特集をやっていた。それによると、現在、湿原に来る丹頂鶴のほとんどは人間が与えた餌を食べているのだ。これは、当然本来の姿ではない。どうして、こういう事態になっているかといえば、湿原の森を切り開いたためだという。森は天然のダムと呼ばれ、水分を多く含む。その水が湧き水となって、冬の湿原にも凍る事のない水辺を作っていた。鶴はそこに住む魚や海老を食べていたが、伐採による森の消失でその水辺が減少。餌付けをせざるを得ない状況だという。植林も進んではいるが、幼い苗木では、十分に水分を蓄える事が出来ず、状況は改善していないのだ。自然を破壊するのは、一瞬だけれど、それを戻すには、倍以上の時間がかかる。改めて認識させられた。

明日は、一気に小樽まで進む。
[PR]
by sojo_skyline | 2005-02-16 21:44 | 旅行記

<< 釧網本線 士別ー知床斜里間      >>

最長片道切符で行く日本縦断の旅
by sojo_skyline
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
カテゴリ
以前の記事
お気に入りブログ
メモ帳
最新のトラックバック
テラびしょびしょw
from お・な・に・ぃ
home made ic..
from home made ice ..
free game ps..
from free game psp ..
lori loughli..
from lori loughlin ..
domain
from domain
ever quest
from ever quest
southwest tile
from southwest tile
muppet show ..
from muppet show dvd
acoustical e..
from acoustical eng..
jg video pro..
from jg video produ..
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧