The Longest one-way Ticket ~最長片道切符の旅・2005春~


第4日目小樽→八戸 雄大な自然…さらば、北海道!


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窓が明るいので、どうしたのかと思って窓を開けると、海の向こうから朝日が昇っている。昨日の吹雪が嘘のような晴天だ。今日は、いよいよ青函トンネルを抜け、本州へ上陸する。もう北海道を渡ってしまうのかと思うと少し寂しい気もするが、この切符は残念ながら前へ進む事しかできない。というわけで、本州へ行く。

宿をチェックアウトし、小樽駅へと向かう。今日は、8時7分発の列車からスタートなので、昨日とは違い、十分な睡眠をとる事が出来た。足取りも軽く、駅への道を歩く。

小樽駅では、札幌方面へと向かう人でごった返していた。折り返しの札幌行きの電車は、ほとんどが満員で出発していく。なかなかあわただしい。私が乗る列車は、その方向とは逆の函館本線経由長万部行きである。この、小樽-長万部間は通称、山線と呼ばれている。海沿いを走る室蘭本線とは違い、勾配も急な山の中を走るゆえ、そう名づけられている。ゆえに、全部の函館行きの特急列車は山線を通らず、海沿いの室蘭本線を経由している。だが、山線は羊諦山やニセコの山々など、数多くの有名な山を見る事が出来るので、私は山線が好きだ。また、SLファンにとっては忘れることも出来ない地であろう。というのも、かつて走っていた急行ニセコ(函館-札幌(山線経由))の牽引機として国内最大の蒸気機関車、C62型が重連でこの路線を走っていた。ゆえに、SLブームの際には多くのカメラマンがこの山線を訪れ、蒸気機関車の迫力ある走行シーンをファインダーに収めていた。昨日、小樽に来る際に、そのC62型の基地があった小樽築港を通ったが、全くといっていいほど、その当時を偲ばせるものはなく、寂しさを覚えた。

そういう、函館本線の山線の列車に乗る。気動車1両である。思ったより多くの人が乗る。若い人はニセコへスキーに行くのだろう。

さて、8時7分の定刻の発車。青空が澄んでいてとても綺麗だ。さて、列車は小樽を出ると、しばらく市街を進む。しかし、余市を出ると線路は山の中へと進んでいく。太陽光に雪が反射していてダイヤのように光っていて、凍っていた川は溶けて、美しい流れを見せる。雄大な北海道の自然を一目に見る事が出来る。もう、春はそこまで来ているようだ。深い山を越えて、少し、街並が現れると倶知安駅に到着。倶知安と書いて「くっちゃん」と発音する。語源はアイヌ語で、北海道の地名はほとんどがアイヌ語を起源としている。倶知安駅でしばらく停車する。左には羊諦山が山容を見せており、右にはニセコ連山が見える。山線の良い所を凝縮したような駅だ。倶知安駅を出ると、羊諦山の麓をしばらく走る。山頂にお椀形の雲がかかっていて、全部の姿を見せてはくれないのだが、稜線はくっきりと見えていてとても綺麗だ。車窓右にはニセコの山々が見えて、車窓を見るのが大変だ。路線は、再び山の中へ入り、羊諦山の山容ともお別れすると、比羅夫という駅に停車する。この駅舎はロッジ風になっていて、なんと宿泊施設もある。真正面にニセコを見る事が出来、しかも駅直結というこの上ない旅館だ。昨日の宿泊地をここにするか悩んだが、港町に惹かれて小樽にした。しかし、機会があればぜひ泊まってみたいと思う。

ニセコ駅でスキー客が降りて、車内はまったりとした雰囲気になる。しかし、まだまだ山越えは残っている。しかし、今乗っている最新鋭の気動車は、かつてC62重連が苦労して登った峠を難なく登っていく。技術の進歩とはすごいものなのだと痛感する。けれど、止まる駅のどこにも、そんなC62が走っていたという形跡がなくさびしい気がする。完全なる判官びいきだけれど、そう思う。蘭越から再び峠越えに入る。天候は悪化して、雪がかなり降り出した。小さな駅にこまめに止まり、平坦になったと思うと、左から室蘭本線が合流し、長万部に到着した。11時13分。この後直ぐに特急北斗に乗って森まで行ってもいいのだが、長万部温泉という文字が目に入ったので、行ってみる事にした。どうやら、雪を降らせていた雲を列車は追い越したらしく、長万部の天気は晴れである。長万部駅前をしばらくあるき、駅を見渡す歩道橋を渡ると温泉街があった。といっても、本当に小さな温泉街でしかも、歩いている人がほとんどおらず、ゴーストタウンのようであった。しかし、温泉につかろうと、何軒か旅館に入ってみるが、番頭には人がおらず、声をかけてもでてくる気配がなかった。仕方が無いので、駅へと引き返す。どうやら、雪雲が長万部まで襲来し、いきなり雪が降り出した。途中、ラーメン屋によって昼食。ライス付きで680円とかなり安かった。JRの人も利用していた。

長万部発13時ちょうど発の函館行きは砂原線経由となっている。函館本線は森駅から二手に分かれていて、海外線沿いを走る方を砂原線と呼んでいる。そちらの方がキロ数が長いので、最長片道切符のルートも当然、砂原線となっている。

長万部を出ると、内浦湾にでる。ここから、しばらくは内浦湾に沿って走る。雪雲が行ってしまったか、天気は再び回復してきて、内浦湾を挟んで駒ヶ岳を望むことができ、また、室蘭の工場群も見る事が出来る。今日は運が付いているようだ。嬉しくなる。

問題の森駅に停車する。ここで、数分停車するので、名物駅弁のいかめしを買いに走るのだが、ホームに売り子さんの人影がない。探し回っているうちに、高校生らしい集団が列車に乗り込んでいった。あわてて列車に戻る。車内に入ると、案の定、私の荷物を忘れ物だといってどこかにやろうとしていたので、慌てて奪い取る。この集団、非常に態度が悪い。携帯の音はバンバン鳴らすわ、挙句の果てには、禁煙の車内でタバコを吸いだした。目も当てられない。車窓右側は、先ほど見えた駒ヶ岳を近くに見る事ができ、次第にその麓を走るようになる。左側は内浦湾に沿い、海と山とが一緒に楽しめる。けれど、せっかくの雰囲気も、彼らのおかげで台無しだ。渡島砂原で下車していったが、車内マナーをもう少し考えて欲しいと思う。

さて、私は流山温泉駅で途中下車した。この駅の近くには流山温泉という銭湯があって、その他にもゴルフ場などもあるレジャー施設がある。だが、降りてみると、川のせせらぎ以外、全く音がしない。あるのは駒ヶ岳のみ。正直なところをいうと、近くに道路があって車が通ると雪を走る音がするのだけど、本当にそれ以外は雑音が一切しない。雄大すぎる自然に、自分がちっぽけな存在だと思わざるを得ない。

振り返ると東北・上越新幹線で走っていた200系車両がど~んと置かれている。どうやら、北海道新幹線の早期実現を願って、展示しているらしい。しかし、いきなり200系があるのは、非常に浮いている。

さて、温泉へと向かう道で犬に吼えられる。散歩の老夫婦の犬だが、そんなに吼えなくても…と思う。このレジャー施設はどうやら冬季は銭湯しかやっていないようだ。ゆえに、人影もまばらだ。入浴量を払って、内部に入る。脱衣所でおじいさんに会うが、私が来るや否や出て行ってしまったので、客は私独りになる。さっそく湯船に浸かり疲れを癒す。そして、露天風呂へ。露天風呂からは、駒ヶ岳が一望でき、最高の気分で温泉に浸かる。思えば、4日間北海道を延々と周り、今日で北海道を抜けてしまうのだと思うと寂しさがこみ上げてくる。もう少しゆっくり周ればよかったかなと思う。けれど、この切符の有効期限の中で旅を満喫したいと思うので、やはり今日は予定通りに八戸へ向かうことにする。1時間弱、駒ヶ岳と温泉を堪能し、再び流山温泉駅へ戻り、函館行きの列車を待つ。定刻より少し遅れてついた列車は、2人しか乗っていなかった。大沼で、ショートカット路線と合流するも、再び別れ、大沼国定公園の中を進む。辺りはすでに暗くなってきた。七飯で路線が合流し、街中に入る。すでに函館市内だ。さて、切符のルートは五稜郭駅で乗り換え、江差線、津軽海峡線と進むようになっているが、今日のラストランナー、特急白鳥42号は函館から出発するので、いったん五稜郭駅で降りて、函館へ向かう事にする。五稜郭駅で、駅員に切符を見せると、
「おぉ!これは、最長片道切符ですか!あなたもやられているんですね。いやぁ、すごい!この切符作るのに、どれくらいかかりました?」
「1週間かかりましたよ。」
「私だったら断りますね(笑)」
「いやぁ、迷惑な客だったと思います」
と会話を交わす。すると、駅員さんは、なんと五稜郭駅長を紹介してくれた。駅長さんは、NHKの番組でも出演してらっしゃったので、とても歓迎してくれた。色々キオスクのおばちゃんも会話に参加し、しばし雑談。すると、駅長さんは
「ここで会ったのも、何かの縁だから」と言って、名刺とボールペンを渡してくれた。すると、キオスクのおばちゃんは、「風邪をひかないように」と、のど飴をくれた。とても暖かい対応に、こちらは感謝の辞を述べるばかりだ。函館行きの列車の改札が始まり、駅員さんにお礼を述べ、ホームに行く。五稜郭駅は貨物ターミナルがあり、貨物列車を牽引する機関車がひっきりなしにやってくる。そんな中、函館行きの列車が入線。車内は混んでいたので、デッキで立っていることにした。数分で函館に到着。函館駅は、最近立て替えられ、近代的なバリアフリーの駅に変貌していた。あまりの変り様に、少々驚く。確かに、今の駅舎の方が、よいのだけれど、昔の駅舎もどこかに保存して欲しかったと思う。

さて、今日のラストランナー、特急白鳥42号へ乗車する。指定席を取ったのだが、乗車率はそこまで高くない。けれど、札幌からの特急が到着すると、乗り換える客が意外に多い。それでも、20人程度だが。白鳥は定刻に発車、五稜郭で大阪行きのトワイライトエクスプレスとすれ違い、一気に進む。もはや、外は見る事が出来ないので、PCに向かって遅れているブログの原稿を書く。作家のような生活だ。

19:23分ごろ、青函トンネルに入った。北海道に別れを告げる。寒かったけれど、人の温もりを感じる事が出来た4日間だった。ありがとう、北海道!

青森駅で、ほとんどの乗客は降り、八戸に向かう人はまばらだ。通過する駅もほとんど人影が無く、むなしく明かりだけがついているといった感じだ。21時51分、八戸着。さすがに、疲れた。今日はゆっくり寝よう。明日からは、いよいよ本州の旅が始まる。
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by sojo_skyline | 2005-02-18 23:59 | 旅行記

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最長片道切符で行く日本縦断の旅
by sojo_skyline
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