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The Longest one-way Ticket ~最長片道切符の旅・2005春~


第5日目 八戸→北上 静かな童話の街での忙しい一日

第5日目 八戸→北上 静かな童話の街での忙しい一日_c0047256_734287.jpg

昨晩はたっぷりと睡眠をとる事が出来た。というのも、今日の出発は今までの行程の中で一番遅い、10時3分発の「はやて10号」である。今回、旅の行程を計画する際には、とにかく日の出から日暮れまでの時間を有効に使おうと、朝早くに出発し、日が沈む頃に宿へ入るということを心がけた。しかし、今日盛岡から乗る山田線の列車の本数が少ないため、いくら八戸の出発を早くしても、意味が無いということで「はやて10号」に乗る事になった由。だが、これは正解だった。昨晩、思った以上に疲れが出て、風呂にも入らず眠り込んでしまったからだ。やはり、青森で一泊するべきだったと反省する。

さて、宿を9時ごろチェックアウトし、八戸駅へ向かう。八戸駅は2002年12月に東北新幹線が延長され、新装された。駅前も土産屋が立ち並び、大型ホテルも建設途中である。しかし、それは表側で、裏口は普通の住宅街があるだけだった。とにかく、その八戸駅から出発する。「はやて10号」には盛岡までしか乗らないため、立ち席特急券を購入した。全車指定席の「はやて」だけれど、盛岡までは空いてる席に座っても構わないという切符だ。盛岡までゆったりと新幹線の旅を楽しもうと思っていたが、予想以上の人出に驚く。発車時間が近づくと、待合室はほぼ満席。キオスクには駅弁や飲み物を買う人が殺到している。東北新幹線の利用者は、東京-仙台がほとんどと聞いていたが、これは意外である。いざ、列車のドアが開くとほとんどの席は塞がった。仕方が無いので、デッキに立っておく。本当の「立席」になってしまった。

10時3分定刻に発車。八戸を出て5分もしないうちにトンネルへ入る。この、盛岡-八戸間は山岳地帯をトンネルで貫いて建設されたため、路線約7割はトンネルである。時々、美しい山が見えるが、すぐにトンネルに入り見えなくなる。確かに新幹線開通で、八戸-盛岡間の移動は便利になったが、少しつまらない。急ぐ人には、車窓なんて関係ないのかもしれないが。

30分で盛岡に到着。たった30分のために高い新幹線特急券を払うのは少々気に障るが、仕方がない。新幹線の八戸延長で、盛岡以北と八戸以南の東北本線は第三セクター、IGR岩手銀河鉄道と、青い森鉄道に分断されている。盛岡から山田線ホームへ向かう。今度の山田線の列車は快速リアス宮古行きで、2両編成だった。その内の先頭は、キハ52にという元急行型の車両であった。せっかくなので、そっちに乗り込んでみた。ちなみに、北国の列車は、ドアは手で開ける。せっかく暖めた車内を温度を保つためで、知らないと乗り損ねたり、降り損ねたりするので、注意が必要だ。この列車もそうなのだが、最新の電車とは違いドアが重い。お年寄りには少々きつい気がする。

粉雪が舞う中、定刻に出発。東北本線と別れ、しばらく盛岡市内を走ると、すでに山の中だ。山田線には昨年の5月に乗った事があるのだが、そのときはちょうど新緑の季節で、車窓の山々の美しさに心を打たれたのだが、今日は真冬で、しかも吹雪という全く別の風景を見せてくれている。雪が木を黒く見せ、山水画のような風景が続く。その中を「快速リアス」は快調に飛ばすのだが、暖房のぬくもりと疲れがでて、少し眠る。気づけば、茂市駅だった。この茂市駅から岩泉線が分岐しているのだが、一日に数本しかなく、そのため本州には珍しく自然がそのままの形で残されていて、秘境路線というので人気を集めている。時々、盛岡から直通の臨時列車も時々走っている。さて、その茂市を過ぎると、閑伊川に沿って走り、山を抜けると、宮古に到着した。釜石行きはすぐの接続で、全く観光することができないのが残念だ。今日の行程は、接続がうまく行き過ぎているので観光する暇が全くない。少々急ぎすぎる日程を組んだのを反省するが、仕方がない。すでに北上の宿を予約してしまった。このまま、旅を続ける。

釜石行きは、高校生と地元の人で混んでいた。少々騒がしいけれど、ローカル線にとっては貴重な収入源だ。宮古駅を出ると、橋を渡る。カモメが多く飛び交い、漁船が並んでいる。いかにも港町という感じがする。しばらく行くと、久々に太平洋を拝める事が出来た。けれど、天気はドス曇りで、海も灰色だ。雪もかなり降っている。けれども、それが小さな港町とあっていて、なんともいえない風情がある。住んでいる人にとっては、それどころではないのだが、旅人にとってはそういう印象を与えてくれる。途中、吉里吉里という駅に止まる。※

駅に近づくたびに、そういう小さな港町があって、駅を離れると太平洋を眺める。それの繰り返しで、14時11分に釜石に到着する。釜石は、昔から鉄の町として栄えていたけれど、鉄鋼業界の再編等で寂れてしまった。駅の直ぐ傍にあった鉄工所も規模を縮小していて、跡地にはレジャー施設が建っていた。そんな釜石も歩いてみたい町だけれど、あいにく乗り換え時間は6分しかなく、しかも釜石線の快速「はまゆり」は混んでいて、空席を見つけるので、やっとだった。この快速「はまゆり」は元急行「陸中」で使用していた車両を使っていて、全席リクライニングシートと、非常に快適だ。釜石発14時17分。釜石をでると、先ほど走ってきた山田線と併走して、線路が左右に分かれていった。釜石線は「銀河ドリームライン」という愛称が付けられている。というのも、釜石線はかつて花巻鉄道という私鉄で宮沢賢治が、愛した鉄道として有名である。ゆえに、彼の小説「銀河鉄道の夜」にあやかって、そういう愛称が付いている。駅それぞれには、何語かはわからないけれど、カタカナの愛称が付いていて面白い。陸中大橋駅を通過する前、下にこれから通る線路が見える。ここは、釜石線が建設される際に、政治家たちの我田引水ならぬ我田引「鉄」合戦のために、こういう形になった。今でも、政治家のやっている事は変っていないような気がする。陸中大橋駅を過ぎるとトンネル内で大きく左にカーブし、先ほど見えた線路上を走る。列車はかなり混んでおり、新花巻で新幹線に乗り換えるのか、スーツ姿の人も数多く見える。車窓は、淡々と北上山地の中を進む。北海道の自然は、まさに「雄大」という言葉が相応しいのだが、本州に入ると自然の中にも、かならず一軒は家があって、それが微妙な哀愁を漂わせている。そんな中、民話の里、遠野に到着する。遠野も降りてみたいが、眠気がピークなので、腰が上がらず、そのまま「はまゆり」の旅を続ける。淡々と山の中を進んだ列車は、山を降りて新花巻に停車する。どこに新幹線の駅があるのかと思えば、霧の中から突然現れた。コンクリート橋が少々不気味だ。新幹線への乗換えか、大きな荷物を持った人が多く降りた。新花巻を出ると、街中を進み、東北本線の線路と合流すると、花巻に停車する。「はまゆり」は、この後盛岡まで東北本線を北上するので、乗り換えて東北本線の普通電車で、北上へと向かう。ふと、思ったのだが、今日は朝から何も食べていない。どうも気分がおかしいと思ったら、お腹が異常に減っているのに気づく。さっそく花巻駅で晩御飯に駅弁をと思ったが、全部売り切れたとの事。仕方が無いので、パンを買って空腹をしのぐ。

東北本線上りの普通電車は701系という電車であった。この701系は、何物入りで東北本線など、東北各地の路線に導入されたのだが、すべて通勤電車と同じロングシートという事で、あまり評判がよくない。ラッシュの時のことを考えるとベストな設計なのだろうが、それ以外の時間帯は不要な気もする。難しいところだ。しかし、701系の性能はすこぶるよく、快調に東北本線を南下する。外はかなりの雪が降っている。

北上に到着。ホテルへと向かう。今日は、食料の調達に時間がかかりそうだ。
by sojo_skyline | 2005-02-19 23:59 | 旅行記

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最長片道切符で行く日本縦断の旅
by sojo_skyline
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