The Longest one-way Ticket ~最長片道切符の旅・2005春~


第6日目 北上→米沢 日本海へ!

第6日目 北上→米沢

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起きた瞬間、目を疑った。6時過ぎの北上線に乗って、ほっとゆだ駅にある駅内温泉で朝湯に浸かるつもりが、すでに6時半をまわっていた。すでに列車は、北上をとっくに出発している。少々残念だけれど、その分よく寝むれたのでよしとする。

北上線の改札時間となり、駅員に切符を見せる。すると、切符を見せろという感じで切符を受け取ると、ルートを凝視して、納得言ったのか、ようやく返してくれた。当然といえば当然の行為なんだけれども、少し緊張した。自分でも切符の経由の中にきちんと「北上-北上線-横手」と書かれているのを確認して、ホームへと向かう。北上線は0番線から発車だ。0番線…なんとはなく旅情を誘う番号だ。列車の発車するホームの番号は、母屋から1、2、3と付けるのがほとんどであるのだが、その1番線の端を削って作られるのが0番線で、ローカル線が発着するホームによく用いられる。

車体を揺らせて発車すると、東北本線と別れ、真っ直ぐに奥羽山脈に向かう進路をとる。辺りはまだ薄暗いのだが、雪のおかげで青白く見える。雪国ならではの車窓である。しばらく北上盆地を進むが、段々と山が多く見え始める。前方を見ると、黒くて厚い雲が山脈の上にかかっていて、天気が悪そうだ。少々不安だが、列車は淡々と走る。やがて、平野が尽きると勾配もきつくなり、山越えとなる。だが、最新鋭のディーゼルカーだけにその走りは力強い。和賀川に沿って走り出すと、錦秋湖が見える。錦秋湖は、表面を薄っすらとした氷に覆われて、またその上に雪がつもるという冬ならではの光景を見せてくれた。その後、しばらく川に沿ったり離れたりを繰り返し、ほっとゆだ駅に到着する。ちょうど北上線の中間地点にあたるこの駅内には共同浴場があって、駅なのに温泉に入れるという事で有名だけれど、今回は機会を逃した。次回こそは是非に。

列車は奥羽の山を徐々に抜けて、平野が広がると横手に到着した。ここで1時間ほど乗り換え時間があるので、街をブラブラ。横手といったら、カマクラである。つい、先日まで横手かまくら祭りが開催されていたので、一個くらい残っているだろうと思い散策する。かまくら館の近くにいくと、公園に大きいかまくらが一個まだ残っていた。さっそく中に入ってみる。思ったよりしっかりしていて、風をしのぐ事を考えればかなり暖かい。なるほど、これがかまくらかと、じっくり見ていると、高校生が変な目で私を見る。彼らにとっては珍しくもなんともないのだろうけど、私にとっては珍しい。さて、十分満足して、今度は横手城址でも見に行くかと思えば、意外に時間を消耗していた。失意のうちに、横手駅へと戻る。ちょうど腹も減ってきたので、今度は横手やきそばの店を探す。横手は、「焼きそば」による町興しを目指していて、商店街にも「焼きそば」の文字が躍る。けれども、今日は日曜日で、どの店もまだ暖簾を閉じている。残念だなと思っていると、横手駅の食堂に「焼きそば」と書いてあった。なんだか時間を無駄に消耗した気がするが、とりあえず注文してみる。横手焼きそばは、麺の上に半熟の目玉焼きがのってきて、黄身を割りながら食べるのがいいらしい。さっそくその方法で食べる。うまい。ちょっと癖になりそうだ。ボリュームもかなりあって、十分以上に空腹を満たす事が出来た。お代わりをしたいところだが、発車時間が迫っているので、急いでホームへと向かう。奥羽本線の秋田行きの列車も701系で通勤電車型のロングシートだった。おまけに車内は混んでいる。このロングシートは、景色を写真に収めようと思うにも、どうも隣の人や席の前に座る人が気になり、撮ることが出来ないし、窓も暖房のために真っ白に曇っている。どうも景色を見るのに向かない。仕方が無いので、音楽を聴きながら過ごす。本当なら、列車の音や車窓を存分に楽しみたくて、旅の途中には音楽などを聴かないと心に決めていたけれど、何も見えないのなら仕方ない。進行方向に、秋田新幹線「こまち」の車両が整備されているのを横目に、大曲に到着する。秋田新幹線に乗り換える人も含めて、ほとんどの乗客は降りてしまった。車内は静かになる。ここから先、奥羽本線は、新幹線の通る標準軌(1435mm)と在来線の狭軌(1036mm)と幅の違う線路が併走して走る。奥羽本線は福島から青森にいたる幹線だが、福島-新庄間は山形新幹線、大曲-秋田間は秋田新幹線が乗り入れし、直通する列車は一つも無くなってしまった。その奥羽本線の駅をこまめに止まりながら、列車は進む。秋田新幹線が隣を爆走するが、こっちは我関せずという感じで、ゆっくりとしたペースだ。かなりの雪が降る中、秋田に到着。ここでも、時間があるのでしばし秋田の街を歩こうかと思ったが、駅舎を出た瞬間、全くのその気が失せた。関東の地方都市と全く変らないような駅前に閉口した。まったく地方色というものがなく、散策する気が失せた。新幹線開通によって、秋田は東京にずっと近くなって、駅舎も新装した。でも、その地方独特の雰囲気を壊さなくてもと思う。

そういうわけで、秋田駅の中をうろうろし、駅弁やお土産を見て歩く。今日の宿泊地の米沢で、おいしい肉でも食べようかと思ったが、比内鳥弁当が私を呼んでいるような気がしたので、勢い余って購入する。ストライクかボールかは、この後はっきりするだろう。

特急「いなほ10号」は、秋田駅始発なのだが、発車時間10分前になっても入線しない。おかしいなと思っていると、やはり遅れているそうだ。外はかなりの雪で、その影響であろう。到着と同時に、係りの人が手早い手つきで車内整備を行い、すぐに折り返しのスタンバイが出来た。全くといっていいほどの素晴らしい職人芸だった。さて、列車に乗り込むと、さっそく比内鳥弁当を食べる。どうやら、ストライクのようだ。

列車は、秋田郊外をしばらく走ると、すぐに日本海に沿う。雪が舞う中、荒れ狂う波が海岸線に押し寄せる。まさに、日本海らしい光景だ。太平洋や瀬戸内海を見る時は、晴れていた方が綺麗なのだが、日本海はやはり冬の季節に見るのがいい。

そんな荒れ狂う、日本海を眺めていると車内改札が始まる。最長片道切符を見せると、「ほぉ~」といった感じで、「がんばってください」と励まされる。こちらは、頭を下げるのみだ。こういった小さい励ましが、非常にありがたい。

列車は相変わらず、日本海を沿って走る。波は猛々しい。すこし、海岸線から離れて、酒田に到着する。ここも途中下車したいが、米坂線が途中下車を許してはくれないダイヤ設定になっているので、見逃す。思い返せば、東北地方の日本海側の都市に途中下車した記憶がない。いつも、機会を逃す。次回は日本海縦断でもしてみようかと思う。

さて、坂町着。出発していく特急「いなほ10号」の車掌に、頭を下げると、敬礼をしてくれた。この車掌さんに、再び巡りあうことはあるのだろうか。

坂町駅で、米坂線に乗り換える。日本一の豪雪地帯を進む路線として有名だ。今日の天気は雪で、今も降り続いている。坂町駅の待合室には、石油ストーブが置かれていて、非常に暖かい。そこをでると、まさに極寒という感じなので、雲泥の差だ。

米坂線の列車に乗る。昨日山田線で乗ったのと、同型のキハ52型に乗車する。さて、いざ発車と思ったら、なかなか出発できない。どうやら、線路の上に氷の塊があるようだ。運転士がエンジンを全開にすると、ようやく出発した。先が思いやられる。羽越本線と分かれると、しばらくは平地を行くが、山深く進むにつれて、降る雪の量も、積もっている雪の量も多くなってくる。すでに、車窓は暗くなっているが、列車の先頭につけたスノープラウが跳ねる雪と、走行の風で舞い上がる雪が窓にくっ付き、凍っていく。雪は列車の窓にまで達している。小国駅で列車行き違いのために少々長時間の停車。列車の外に出てみると、列車の窓と扉にはびっしりと雪が氷結していた。

すでに、車窓は眺める事が出来ない。けれど、雪をかき分ける音とディーゼルエンジンのサウンドが車内に響く。今泉に停車。ここは、故・宮脇俊三先生がその書かれた本の中で度々書かれたこともある、先生が終戦の玉音放送を聴いた地である。ファンにとっても、そして亡くなられた先生にとっても思い出深い駅である。その駅名表を写真に撮ろうと思ったら、列車から降りようとしていた人が一向に降りない。どうやらドアが開かないようだ。一生懸命引っ張るが、ダメ。後ろの車両に移ろうとした矢先、車掌の出発の笛が響き、扉が閉まった。一同、「え…」という言葉しか出ない。その人たちは、次の駅で降りて、携帯電話でタクシーや迎えの車を頼んでいるようだった。なんとも不運である。

そんなこんなで、列車は山を下り、米沢に到着した。米沢牛の弁当を買おうかと思ったが、すでに売り子さんは店をたたんでいて、買えなかった。市街地も遠いし、疲れているので真っ直ぐホテルへの道を辿った。
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by sojo_skyline | 2005-02-20 23:59 | 旅行記

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最長片道切符で行く日本縦断の旅
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